現在の建物は、17世紀から18世紀にかけて再建された一連のもので、それぞれ趣の異なる様式と特徴をもち、小規模ながらすぐれた建築群を構成している。
本堂は三間堂（さんげんどう）の一般的な建物であるが、内部架構（かこう）を巧みに組み変化に富んでいる。貞享（じょうきょう）3年（1686）の建築。開山堂も三間堂であるが、本堂とは異なり屋根は宝形造（ほうぎょうづくり）、柱も角柱で簡素な形式を持つ。明暦（めいれき）元年（1655）の建築である。鐘楼は方一間（いっけん）の一般的なもので、鬼瓦（おにがわら）に正徳（しょうとく）3年（1713）の刻銘（こくめい）がある。鎮守社は覆屋（おおいや）に収められた軒唐破風（のきからはふ）付の春日造（かすがづくり）社殿で、建立は18世紀と見られる。手の込んだ架構（かこう）や彫刻などに見所がある。
湯浅湾を見降す景勝地にあり、すぐれた景観を保持している。