公開日 3月8日
【県立博物館】 紀の川市・細野阿弥陀寺への「お身代わり仏像」の奉納について
連絡先 教育委員会  教育庁文化遺産課
担当者 【県立博物館】 学芸課 島田 和
電話 073-436-8670
FAX --
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 県立博物館では、県立和歌山工業高等学校、和歌山大学教育学部等の教育機関の協力を得て、3D
プリンタを用いた文化財の精巧な複製を作り、文化財の防犯や防災の対策への活用を図っています。
高齢化や人口減少などの要因により、管理や保全が困難になっている地域の寺社にある文化財を博物
館で保管し、かつ、信仰されてきた環境を維持するための取り組みで、平成24年度から令和3年度
までに、県内19か所の寺社に36体の「お身代わり仏像/神像」を安置しています(※今回奉納分を
含むと20か所・37体)。
 このたび、昨年から博物館でお預かりしている紀の川市・細野阿弥陀寺の阿弥陀如来坐像のお身代
わり仏像が完成し、下記日程にて奉納することとなりましたので、お知らせします。
 現地には、製作に携わった県立和歌山工業高等学校の生徒、そして今回着色作業を行った県立向陽
高等学校の生徒が訪れ、完成したお身代わり仏像を地域住民の代表者にお渡しし、交流を図ります。
 なお、今回の奉納は、生徒が地域の方々と交流を行うことで、学びをより充実したものにするとと
もに、住民がお身代わり仏像を身近に感じていただく機会とすることを目的としています。

 (日 時)
  令和5年(2023)3月13日(月) 13時開始(14時終了予定)
 (場 所)
  細野阿弥陀寺(紀の川市桃山町中畑)
  ※「細野渓流キャンプ場」より徒歩で約10分。12時半前後に集合し、総勢で徒歩で向かう予定です。
   車は細野渓流キャンプ場付近に駐車可。山道に注意してお越しください。
 (奉納像)
  細野阿弥陀寺・阿弥陀如来坐像の、3Dプリンタで製作したお身代わり仏像 1体
 (参加者(予定))
  中畑区住民及び関係者、県立和歌山工業高等学校産業デザイン科生徒・教員、
  県立向陽高等学校美術部生徒・教員
 (内 容)
  細野阿弥陀寺へのお身代わり仏像の奉納。生徒と地域住民の交流。
 (連絡先)
  学芸員 島田和(073-436-8684(県立博物館学芸課))
  当日は博物館休館日ですので、お問い合わせの場合は前日までにお願いいたします。


 阿弥陀如来坐像 細野阿弥陀寺蔵
  木造・漆箔 像高50.9cm 平安時代・12世紀

  来迎印を結ぶ阿弥陀如来坐像です。瞑想するような穏やかな表情、整
 然と整えられた衣の表現など平安時代後期の「定朝様」と呼ばれる作風
 の典型を示します。特にやわらかなふくらみをもつ胸や腹の豊かな肉体
 表現はみどころです。高野山麓の文化圏に伝来する非常に優れた出来映
 えの作といえ、仏師の技量がうかがえます。
  像表面は、当初は全身金箔で仕上げられていましたが、金箔やその下
 地となる漆の層が剥がれ、布張りの層や木の面が露出しています。また、
 膝の材と頭体部の材が乖離していて、内側の刳りや構造など、当時の仏
 像の造法がよく分かります。