公開日 8月18日
植物油に含まれるリノール酸が 食後の血糖上昇を緩やかにできる可能性を発見
連絡先 福祉保健部 健康局 医務課
担当者 藤本奈巳
電話 073-441-2083
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この度、和歌山県立医科大学解剖学第一講座 山本悠太 講師、山岸直子 助教、
西利男 博士研究員、伊藤隆雄 助教、金井克光 教授、北海道大学大学院薬学研究
院臨床薬剤学研究室 鳴海克哉 講師、小林正紀 教授、同大学院薬学研究院臨床薬
学教育研究センター(臨床薬剤学研究室前教授)井関健 先生らによる研究チーム
は、植物油に含まれるリノール酸を糖負荷直前に投与することで血糖値の上昇を
緩やかにすることをラットで明らかにしました。この効果は、血糖値を下げるホ
ルモンであるインスリンが分泌できない1型糖尿病※1モデルラットでも同様な効
果を認めたため、1型糖尿病患者を含む糖尿病患者さんの中でも、食後血糖のコン
トロールが難しい患者さんに対してリノール酸による新たな糖尿病治療の可能性
を示すことができました※2。

※1 1型糖尿病:膵臓にある血糖を下げるホルモンのインスリンを放出する細胞が
       破壊されてしまう病気です。インスリンが欠乏するため、インスリンを注射
       することで血糖を正常に近づける治療法が一般的に行われています。

※2 植物油中に含まれるリノール酸は、グリセリンと化学的に結合しており、腸
   で消化されることでリノール酸とグリセリンに分かれます。本研究では、こ
   の分かれたリノール酸をラットに飲ませることにより血糖上昇を穏やかにし
       ているため、リノール酸を多く含まれる油を摂取しても同様な効果は示さ
       れません。