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公開日 2月6日

奈良時代写経を含む大般若経600巻の全画像をWEB公開ー小川八幡神社(和歌山県紀美野町)所蔵大般若経の公開ー

連絡先 教育委員会  教育庁文化遺産課
担当者 【県立博物館】学芸課 竹中康彦
電話 073-436-8684
FAX --
E-mail admin@hakubutu.wakayama-c.ed.jp

 奈良時代写経を含む大般若経600巻の全画像をWEB公開ー小川八幡神社(和歌山県紀美野町)所蔵大般若経の公開ー


 小川八幡神社・小川八幡神社大般若経管理委員会・和歌山県立博物館・東京大学資料編纂所の連携により、小川八幡神社が所蔵する大般若経600巻の高精細デジタル画像をWEB公開しました。
 
 小川八幡神社大般若経は、奈良時代から室町時代までの書写巻を含んだ取り合わせ経で、その全体像をオンラインで閲覧できるようにした点で画期的です。

 奈良時代の民間写経の実像を伝える貴重な資料群であり、また幅広い時代の書写にかかる大般若経の全文が確認できることから、歴史学研究のみならず仏教経典のテキスト研究や書道研究
など、様々な分野の研究素材として活用が期待されます。


概要
 東京大学史料編纂所と和歌山県立博物館による共同研究により、和歌山県紀美野町小川八幡神社所蔵の大般若経全 600 巻および付属品(経帙・経箱・外箱)の調査および撮影を実施し、撮影画像約 12800 点と目録データを、東京大学史料編纂所の HI-cat データベースを通して WEB 公開しました。2024 年 11 月に、所蔵者である小川八幡神社、小川八幡神社大般若経管理委員会、寄託先である和歌山県立博物館、そして史料編纂所の四者が覚書を締結し、このたびの公開にいたりました。
 本経巻群には多くの奈良時代写経が含まれており、特に天平 13 年(741)に那賀郡御毛寺(みけでら)知識が書写したとの奥書をもつ経巻は、『日本霊異記』下巻第 17話に登場する那賀郡弥気里の「弥気(みけ)の山室堂」の実在を示すものとして、早くから学界の注目を集めていました。また今回の調査により、南北朝時代から室町時代(14〜15 世紀)にかけての 600 巻セットの形成過程、および室町・江戸・昭和の 3 次にわたる改修・整備の過程も判明し、600 年もの間、「ムラの宝」として守り受け継がれてきた様子が浮かび上がってきました。


経緯
 和歌山県紀美野町の小川八幡神社が所蔵する大般若経 600 巻(以下、小川八幡神社経)は、長らく地域で大切に保管・活用され、現在も毎年7月 26 日に大般若経祭典が行われています。小川八幡神社経は、かつては境内の神宮寺に伝来していましたが、明治の神仏分離令の影響で神宮寺が廃絶し、以後は地域で管理されました。その後、神社での保管を経て、2019 年からは文化財保存のために和歌山県立博物館に寄託されています。1978 年の新聞報道を契機として学術調査がおこなわれ、その価値は学界でも注目されてきました。東京大学史料編纂所と和歌山県立博物館との共同研究では、2011 年に一部経巻を調査し、さらに 2018 年の調査を端緒として 2019 年に和歌山県立博物館への寄託が実現したことをうけ、以後、継続的に調査を実施するとともに、全点の写真撮影にとりくんでまいりました。


研究成果
 小川八幡神社経は、600 巻全体をまとめて書写したものではなく、過去に書写されたものを各地から収集し、不足分は補写して揃えた、いわゆる「取り合わせ経」です。取り合わせの時期は、奥書の検討から、南北朝時代から室町時代(14〜15 世紀)にかけての約 60 年間と推測されます。高野山周辺の僧侶の助けも得ながら、地元住民の熱意で集積と整備が進められた様子が明らかとなりました。
 600 巻のうちには、奈良時代書写の 105 巻、平安時代書写の 375 巻のほか、鎌倉〜南北朝・室町時代の書写経など、様々な時代の経巻が含まれています。奈良時代写経は、奈良の大寺院などに残存する経巻の多くが官立写経所で書写されたものであるのに対し、小川八幡神社経は民間で写経されたもので、当時の地方・民間での写経の隆盛を示す、非常に貴重な存在といえます。
 調査成果は、2022 年 3 月に中間報告書をまとめましたが、2022〜23 年度の成果をふまえ、2025 年 3 月にふたたび報告書を刊行予定です。いずれも東京大学リポジトリより公開予定です。今回の報告書では、経典の書写年代の特定にあたり実施した、紙質の調査成果もあわせて掲載します。貴重な奈良・平安時代写経のデータとして、今後の調査への活用
が期待されます。
 


概要等詳細は資料提供ファイルをご覧ください。

>>関連ホームページ
和歌山県立博物館 https://hakubutu.wakayama.jp/

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