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和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」バックナンバー
平成30年3月9日

平成30年3月9

 ◆ 知事メッセージ
  ○ 和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例
 和歌山県では、 標記の条例を平成30年2月議会に提案しています。 太陽光発電はクリーンエネルギーですし、 太陽光というのが使っても減ってしまわない再生エネルギーですから、 石油、 石炭、 天然ガスといった化石燃料は枯渇するおそれがある上に、 温室効果ガスを出すので地球温暖化という深刻な地球環境問題を引き起こしてしまうという現実の中で、 大いに期待されるものであります。
 
 もちろん、 大規模な原子力発電所や火力発電所に匹敵するような大電力を得ようとするのは、 信じられぬほど広大な地域を太陽光パネルで埋めない限り不可能なのですが、 それでも十分有為の電力は期待できるのです。
 
 東日本大震災の後原発が止まってしまった中で、 電力供給の救世主として期待されたところもあり、 太陽光発電で得られる電力は既存の電力事業者にかなり高価に買ってもらえるという制度ができたのも、 太陽光発電事業の発展に寄与していることも事実です。 (もっとも、 その分は電気代の高騰になって国民の懐と企業のコストに跳ね返ってくるのですが。 )そうして、 和歌山県でも大きいのから小さいのまで、 太陽光発電事業は段々と増えてきているのですが、 ここに来て、 いろいろな歪みがもたらされるようにもなりました。
 
 
 和歌山県のような所は、 広大な平地があるわけではなく、 ほとんどの土地は斜面にあり、 そこには木が生えていて、 森があり、 谷川が流れているという所が多いわけであります。 最近そういう所で太陽光発電プロジェクトが進むようになりました。
 
 斜面を切り開いて太陽光パネルを設置するわけですから、 当然そこにあった森林を伐ってしまわなければなりません。 そうすると、 豊かな森が好ましい自然景観を形作っていたのを壊すおそれもありますし、 森林を伐ってしまうと、 地面が露出して下流に洪水も巻き起こすではないかという心配も住民の間で生じるのです。 事業がうまくいかなかったとき、 後片付けをしないで荒れたままで放置されたら困るという声もあります。 太陽光発電もクリーンエネルギーとしてポジティブな受け止められ方だけでなく、 こういうネガティブな反応も起きてきたのです。
 
 
 そこでこういう太陽光発電の規律を考えることのできる法制はどうなっているかを考えますと、 どうも決め手を欠くという状況です。 電力事業を規制する電気事業法には、 発電設備の基準のみで、 用地に関する基準はありません。 産業廃棄物規制などにある安全規制もありません。 環境影響評価による規制は県によってあったり無かったり、 あるものも大規模なものについて適用されるところが多く、 和歌山県では75ヘクタール以上のものだけについてかかります。 辛うじて、 当県で歯止めとして使い得るのは、 林地開発許可に関する県独自の要領だけで、 和歌山県では許可申請の際に地元の同意があるかどうかを問うことになっているのです。 しかし、 これも和歌山県のみ可能なことかも知れません。
 
 
 これは少々困ったことだと、 ごく近年各県において、 これに対応する動きが出てきました。 大部分の県では、 県独自の環境アセスメントを行って、 その下限を75ヘクタールより小さくするというような措置をとっています。 多いのは50ヘクタール以上といったところですが最小は三重県の10ヘクタール以上です。 しかし、 これも環境アセスメントですから、 アセスメント手続きはしなければならないことだけが決まっていて、 手続きをした後の行方は、 それほど明確には決まっていません。
 
 一方、 兵庫県は「太陽光発電施設等と地域環境との調和に関する条例」を作り、 0.5ヘクタール以上のプロジェクトは届出という形をとりました。 たぶん、 そこで不都合を色々と是正する指導がなされると思われますが、 意見が対立した時に届出という行為の法律的効果が議論になる可能性もあるかもしれません。
 
 和歌山県では、 各地でプロジェクトが明るみに出るや、 住民の反対がしばしば起こっていますが、 住民の同意をどう判断するかがよく争われます。 また、 ある事業者はどうせ最後は許可されるのだから、 反対する地区は謝礼又は協力金をもらえなくなるぞという趣旨のアナウンスをして住民を味方にしようとしているようです。 この態度は実にけしからんと思いますが、 住民の同意が見返りを求めるインセンティブになっているとすると、 地域のモラルにとても悪影響を及ぼすでしょう。 また、 県によってはガイドラインを作って指導をしている所があり、 ここは50キロワット以上(一部を除き)が対象となっていますが、 強制力はありません。
 
 
 そこで、 和歌山県は思い切って標記条例案を作って、 目下の議会に提出中であります。 おそらく本件解決の決定版になるものだと思っています。
 
(1)まず、 無理に環境アセスメント手続に頼ることはしません。 事業者には、 県から認定を受けてもらいます。
 
(2)規模は50キロワット以上にしましたので、 面積にすると大体0.05ヘクタール〜0.1ヘクタールです。 全国最小の兵庫県の条例の対象面積の5分の1〜10分の1になります。 ただし、 建物の屋根などに設置するのは対象外です。
 
(3)認定をもらいたい事業者は、 事業の詳細を事業計画にまとめ県に提出することになりますが、 県ではこれを見て、 防災上の観点、 施設の安全、 環境への影響、 景観との調和、 その他市町村の計画ルールなどとの適合、 法令遵守といった観点から審査をします。
 
(4)事業者は事業計画の案の段階で市町村当局に相談し、 地域住民に説明をし、 さらに事業計画を公表する必要があります。
 
(5)市町村や地域住民は、 もし、 この計画が不適当だと思ったら、 県に意見を述べることができ、 その際、 県は該当専門的分野の専門家による検討チームの意見を聞いて、 意見の扱いを決することになります。 同意という無限定なものから、 住民の懸念に対して、 科学的に判断を加える形に変えようというものであって、 事業者がお金で住民を黙らせようというたくらみを封じるものでもあります。
 
(6)また計画には、 プロジェクト終了後の施設の撤去計画なども明示してもらうことにしています。
 
(7)さらに認定を受けた事業計画に沿って、 正しく工事や運営がなされているかについても県の監督のあり方を規定しています。
 
 以上のように、 本条例は、 これまで行っていた様々な問題を一挙に解決しうる画期的なものであると思います。 運用に当たる担当部局の職員は大変だと思いますが、 正しいルールに従って住民や環境と仲良しの太陽光発電を進めていくためには、 これがむしろ近道だと思っていますので、 和歌山県は頑張っていく所存です。


 
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