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ハイカラな言葉で申し訳ありませんが、 最近はマスコミでもよく語られる言葉で、 一つの事柄に焦点を絞って、 賛成、 反対を問うという政治手法を指します。 少し前は郵政民営化は是か否かということで小泉元首相が大活躍をしました。 その後原子力反対とか、 IR反対とか様々な案件があり、 それぞれに熱心に運動をしている人がいます。 最近のオリンピック反対というのもその類いだと私は思います。 こういうシングル・イシューは分かりやすく、 是か否かと聞かれると誰でも答えられるので、 マスコミなどが調査しやすく、 取り上げやすいということでしょうか、 よく目につきます。 政治運動としても分かりやすい目標となりますので、 目端の利く政治家はこれを訴えて支持を集めようとします。 そして、 世論調査や、 住民投票をして良い結果が出たらそれが世論だとアピールしようとするわけです。 しかし、 このようなシングル・イシューは多くの問題をはらみます。 何か一つの事柄を成就させたり、 否定したりすると必ず副作用があります。 「あちら立てればこちら立たず」です。 原子力反対だから止めたら電力供給は大丈夫か。 オリンピック反対と言ったら、 それに人生をかけてきたアスリートが可愛そうではないかという気持ちはないのか。 IR反対とすると、 それに代わる成長因子を見つけられないと、 地域は、 ずるずると衰退していくのではないか。 我々行政は常にこのような状況の中でいいところと悪いところがあるけれど、 どっちが大きいとか、 悪いところは除去する手立てはあるのかとか、 いつも考えて右に行くか左に行くかを決めているのです。 だからシングル・イシューでみんなの意見がまとまったので、 世論はこうだと言って終われるわけがないのです。 私のような首長だけでなく、 政治家はそういう考えでいてほしいと思います。 しかし、 だからといってそういうことが全部わかるまで反対、 賛成という意見を言うなというのも、 行政ならぬ一般の国民に求めるのは酷です。 意見は言っても良い。 ただ、 それに答える意見の違う人の言うことも、 聞く耳は持っていないといけないのではないかと私は思います。 和歌山県知事 仁坂吉伸
広報紙「県民の友7月号」
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