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![]() 新中期行財政経営プランができました。
これから5年間の県の行財政規律を規定する計画です。
5年に一度改定して、
次の5年間の財政規律を決めます。
こうして箍をはめておいて、
無茶な財政運営を県がしないようにするのです。
プランを作ったのは県自身だから、
自分の行う財政運営の規律だといっても、
守らなければならないというプレッシャーにならないのではないか、
だから効果がないのではないかという議論があると思いますが、
そんなことはありません。
このプランは県当局の幹部職員だけが隠し持っているわけではなく、
県議会の皆さんにもよく説明したうえで、
県民に対して発表しているわけですから、
守っていないと県民に叱られますし、
なぜ守れなくなったかについて少なくとも説明責任があるからです。
私が知事に就任した時は、 地方自治体の財政は日本全国どこでも大変でした。 その昔は結構余裕もあったようですが、 小泉・竹中改革で、 「地方行政の無駄」について、 ずいぶん手を入れられましたので、 急に青息吐息になってしまったのです。 和歌山県は歴代財政課が目を光らせていて、 まずまず、 財政破綻にならぬような手堅い財政運営をしていたはずですが、 小泉・竹中改革で、 ご多分に漏れず大変窮屈になっていたのです。 私は2006年の12月に就任して、 前知事の時から積み上げてきた予算案を2,3の注文を付けたうえ、 今年はこれで良し、 来年から抜本的見直しをするということで仕上げて議会へ提出しましたが、 それまでずいぶん締めたつもりの財政が、 このままでいくとあと2年半でパンクという状態であったのです。 国と違って、 県は単なる財源不足で赤字県債は出せませんので、 お金が足りなくなった時取り崩せる財政調整基金と県債管理基金にどのくらい余裕があるかというのがパンクか否かの決め手です。 すなわちキャッシュフローが回っていればよろしいので、 企業財務のような配慮はまずは問われません。 基金が枯渇して、 支出が賄えなくなったというのが、 パンクということです。 これはいかんと、 2007年になってすぐに大幅な行政改革に手を付けました。 財政構造を見ると、 その後の国の民主党政権時代に「無駄な事業費のカット」を唱えたのに、 たいして大きな削減ができなかったように、 過去の財政運営といっても、 そんなに大判振る舞いで来ているわけではないし、 法律的にも実態からもどうしてもつけなければいけないものもありますから、 大幅に削減はできません。 大幅な支出減をしようとすれば県財政の中で大きなシェアを占める人件費に手を付けざるを得なかったのです。 そこで最初の行革プラン(新行財政改革推進プラン)を作って、 5年後に人件費を6%削減すると決めたのです。 でもその削減の方法は、 当時ほかの地方公共団体で多くやっていたように給料の引き下げによって行うか、 人員の数の削減によって行うかの2通りの方法があります。 私は躊躇なく人員数の削減で臨むことにしました。 理由は、 行政にとって冗員がいることは、 非効率の一番の原因となるし、 人間が減って辛くなってくると、 仕事の工夫、 合理化も自らが考えるようになるでしょう。 また、 県庁の職員は和歌山では、 人気の職業であって、 その県庁に入っても生活が成り立たないというようでは、 和歌山県を背負ってもらうような優秀な人材は県庁に来てくれない、 いや和歌山県から出て行ってしまうと思ったからです。 もちろん解雇はできませんから、 退職者の不補充という形で行うことにし、 年ごとの凸凹はあってもよいから、 長期的につじつまがあるようにしようということにしました。 その結果、 計画ではこの行革期間中に12%の人員削減を行うことにし、 その旨を、 行革プランに明示しました。 この結果、 財政は年とともに健全化し、 人員を9%削減したところで、 収支が均衡をすることがわかりました。 おりしも、 県庁の職員が大いに張り切って仕事をどんどんやってくれるようになり、 仕事量も種類範囲も広がってきましたので、 これ以上続けると身体を壊す職員が出てくるぞと思ったからでもあります。 そのほかの工夫もたくさん合わせて、 2年半でパンクするはずであった和歌山県の財政は立ち直り、 県の貯金である財政調整基金と県債管理基金の合計額も期初の151億円を上回るようになりました。 この行革プラン方式は、 かくて5年に一度長期的見通しを立てた上で改定され、 現在に至っています。 名称も少しずつ変わり、 当初のが「新行財政改革推進プラン」(2008年)、 「新行財政改革推進プラン(改定版)」(2012年)、 「中期行財政経営プラン」(2017年)、 「新中期行財政経営プラン」(2022年)と変遷をしています。 実はこの最初の行革をやっている時、 世の中では、 財政にはからくりがあって、 通常表へ出てくる一般会計のほかに、 特別会計というものがあって、 ここにお金が隠してあるとか、 逆にそちらが破綻しているのが、 一般会計に反映されないので実は大変なのだとか、 やたらとなんとか基金というものがあって、 そこにお金が隠されている(「埋蔵金」と言います。 )とか、 外郭団体の経営が破綻しているので、 大変な爆弾を抱えているのだとか様々な議論がありました。 したがって、 この際にすべての特別会計、 基金、 外郭団体の事業を徹底的に洗い出して、 ちゃんと評価をしようということにしました。 ちょうどその時隣の大阪府でも橋下徹知事が現れて、 埋蔵金はすべて表に出して一般会計に入れてしまえといった議論をしていたのです。 しかし、 すべての制度は相応の理由があって存在しているわけですから、 全部一律に処理するような乱暴なことをしていいわけではありません。 したがって徹底的にそれぞれの意味、 理由を追求し、 その意義を評価して、 つぶすものはつぶし、 残すものは残すことにしました。 そして、 実態及び評価のすべてを行革プランの中で公表しました。 例えば、 基金でいうと土地開発基金があります。 これは結構巨額の残高を有しています。 この基金は県の事業に必要な、 土地の先行取得をするために設置されたものであり、 今としてはそのための大きな土地の先行取得というのは考えられませんが、 一方で和歌山県は土地開発については過去からのコスモパーク加太という不良債権を有しており、 この土地が時価で売れたとしたら、 それを所有する土地開発公社が昔取得した時の簿価をカバーできなくなって銀行等からの債務の支払いができなくなるおそれがあります。 したがって、 土地の需要があってもこの問題が顕在化するからコスモパーク加太の土地は売らないというのがそれまでの方針でした。 でもそうすると、 和歌山に雇用をもたらすはずのチャンスを自ら放棄することになりますから、 私は躊躇なく売る、 そして債務保証を迫られたらこの基金を取り崩して一気に処理するという方針に切り替えました。 そしてその旨を行革プランに包み隠さず叙述しています。 隠していると思ったら、 攻撃をする人が出て、 世の話題になるのですが、 このように全公表をしてしまうと誰も批判しなくなるもののようで、 和歌山県が財政問題でとやかく言われることは全くなくなりました。 でもあまりとやかく言われないので、 県民の関心も低くなり、 こうやって細心の注意をもって財政運営を、 しかし特別会計や基金や外郭団体までも含めて行っているのですよと理解してもらうことは中々難しいなあといささか苦笑しています。 そして、 今回の新中期行財政経営プランです。 実は、 私の県政の当初のピンチを解消して以来、 割と問題なく財政運営ができていました。 その都度改定した基金残高も食い込むことなく、 プランを上回るような金額を残せました。 1つ前のプランでは、 そんなに多く基金をため込んでも仕方がないからと、 5年間で50億円はわざと減らすような、 つまり、 それだけ支出を増やして県民の幸せを増進しようという計画が書けました。 しかし、 今回は少々違います。 再び財政が窮屈になってきました。 それは第1回目の行革の際、 人員削減とともに県債償還期間の延長をしたために、 後年度になって逆に要償還額が増える見通しであることと、 支出面ではとりわけ国の措置で国土強靭化の別枠増額がなされた結果、 遅れていた和歌山県の防災や道路の宿題を加速して果たすチャンスが生まれたのに対し、 どんどん飛びついたので県債発行額が増えて、 結果として県債償還額が増えていることであります。 また、 コスモパーク加太の措置の期限が到来し、 これに先ほどの基金ももちろんですが、 他の財源も投入しなければならないという事情もあります。 これはひょっとしたらもう一度人員削減をしなければいけないかという覚悟もしたのですが、 幸い、 財政課の諸君達が何とかしのぐ方法を考えてくれたので、 それはしなくても済むことになりました。 また、 5年間に基金の残高を減らし、 大体150億円ぐらいにするという方向にまとめていますが、 これは前回はわざと減らすという計画であったのに対し、 今回は何とかそこで踏みとどまるという計画なのであります。 そのように、 今後の財政運営は決して油断はできませんが、 知事以下の県庁の全員がこのプランを放恣(ほうし)な財政運営にならないように注意していけば、 今の又は今以上の行政サービスを県民の皆さんに提供できるというのが今回の「新中期行財政経営プラン(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/011700/d00210105.html)」です。 一度ご覧ください。 和歌山県知事 仁坂 吉伸
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