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令和4年11月20日、
標記のフォーラムが大阪の府立国際会議場でございまして、
これに行政の代表として御招待を受けましたので、
出席をしてきました。
このフォーラムは自然災害や感染症のような緊急時に、
我が国の社会経済活動を速やかに維持しつつ国民の命と生活を守るための制度のあり方について検討し、
提言することを目的に設立されたもので、
共同代表として横倉義武日本医師会名誉会長と河田惠昭関西大学特任教授と松尾新吾九州経済連合会名誉会長が就いておられます。
河田先生は、 元京都大学教授で、 地震、 津波対策の第一人者、 和歌山県でも県の対策を考える際に委員会の座長をしていただいたり、 数々の啓蒙シンポジウムで主たる講演者をしていただいたりと、 恩人にあたる人であります。 この共同代表のお三方や企画委員長をしておられる日本医科大学特任教授、 というよりドクターヘリに関する日本の権威であり、 最近は衆議院議員も務めておられる松本尚先生が言い出しっぺで、 自然災害や感染症に対する日本の制度がなっていないという問題意識で、 憲法に緊急事態条項を入れる等の制度整備の提言活動を熱心にしておられます。 フォーラムは各地で、
いわばこの問題についての人々の眼を開かせようと精力的な啓蒙活動をしておられますが、
この度は大阪で大会を開いたというわけです。
この大会には関経連や、
医学系の団体など多くの有力な方が名を連ね、
大阪の政界の方々も多く参加しておられました。
大会では、
主催者として関経連の大坪清副会長があいさつをされてから、
横倉、
河田、
両共同代表がそれぞれの問題意識と抱負をお述べになり、
松本尚先生から、
自らの経験に基づいて、
「危機管理のできる国へ −レジリエンスフォーラムからの提言」という講演がありました。
その後ゲストとして、
吉村大阪府知事の後、
私が関西広域連合長、
和歌山県知事として、
「あいさつ」をせよというご要請でしたので次のように述べました。
その中味にもありますように、
あいさつといっても、
この後各政党代表の方もあいさつに立たれますので、
同じことを言っても始まらないと思いましたので、
和歌山県知事として、
実際に危機管理にあたった経験から言いうることを申し述べました。
話しておりますと、 16年間の知事任期中に何度も襲ってきた、 災害対応や南海トラフ大地震への備えとして準備してきた対策、 コロナ対策で忙殺されたことなどが走馬燈のように脳裏に浮かんでまいりまして、 自分でも思わず熱が入りました。 最後になりましたが、
このようなフォーラムを作り、
来るべき大災害に備えようと奮闘されている河田先生をはじめ、
このフォーラムに結集されている皆さんに心から敬意を表します。
また、
和歌山県でも日頃からこのような動きにもっと耳を傾け、
運動には積極的に参加していかないといけないと考え、
その旨担当部局に指示をしたところです。
【ニューレジリエンスフォーラム関西ブロック大阪大会での発言】
『関西広域連合長で和歌山県知事でもあります仁坂でございます。
本日はニューレジリエンスフォーラムにお呼びいただき本当にありがとうございます。
今までにお話を聞いていて本当に素晴らしい企てを皆さんが一致団結してやっているなと思いまして非常に心強く思いました。
私のような者がこのような場所に呼ばれますと大体主催者の皆さんにエールを送るのが礼儀だと思うのですが、 今日は多くの方がお話をされると思うので、 これは繰り返しにきっとなるなと思いきや、 吉村知事の話を聞いているとそうはならなかったのですが、 吉村知事と同様に出来るだけサブスタンスの話をしたいと思います。 しかも経験に基づいたサブスタンスの話を申し上げたいと思います。 関西広域連合でも防災とか危機管理とか熱心に取り組んでいるところですが、
経験という観点からするとやはり和歌山県の経験の方がより切実かなと思います、
ので主としてそちらを申し上げたいと思います。
防災とか危機管理と言いますと、
私は南海トラフの大地震が来るので備えをしなければと、
まず第一に頭に浮かんでくるものです。
その点において一生懸命にやっているところですが、
この点では河田先生は和歌山県の恩人であります。
河田先生の先ほどの話のなかで大阪も大変なんだと言われており、
もちろん和歌山県も大変なのですが、
もう一つだけ大変なことがあります。
それは何かと言うと、 大阪の方は津波から逃げようと思うと逃げることができ、 ぼーっとしていると死ぬかもしれないが、 命を守れます。 和歌山県の南部の方は、 熱心に逃げようと思っても津波の方が早くて逃げられない避難困難地域を抱えている恐ろしい県な訳です。 しかし、 そんなことを言ってられず、 全ての方を助けるぞと言っていろんなことをやってきたところです。 ただ、 そうこうしているうちに、 2011年に紀伊半島大水害をくらいました。 そちらの対策はかなり進んでいたと思っていましたが、 ズタズタにやられて、 なんとかしないといけないと思いました。 なんとか割と早く復興したのですが、 するとすぐ世の中から忘れられてます。 知事が地味なところもあり、 世の多くはあまり助けてくれなくなったりしました。 でも早く復興しないといけないとがんばりました。 その後も2020年にコロナが襲い掛かってきて、 また危機管理をしっかり行っているところです。 このような防災・危機管理に対しては3つの局面に分けて考えたらよいと思います。
ひとつは、
事前のしっかりした備えであります。
そのためには、
例えば堤防の強化とか、
あるいは交通でいうとネットワークの複線化みたいなものも必要であると思います。
今まさに日本全体がそうでありますが、
北陸新幹線が大阪まで早く来るように私も一生懸命に行動しているところですが、
このことは東海道系がやられた時にどうやって日本全体をそんなに被害なく回していくかということで、
複線化という点はものすごく大事だと思います。
まだ高速道路がないところで一般道路が海沿いに走っているようなところは、 高速道路を作りネットワークの複線化をしておくことは災害対策としてものすごく大事だと思います。 感染症を想定すれば、 例えば保健所の機能、 これは無尽蔵にいつも大きくしておく訳にはいきませんので、 これをちゃんと機能できるようにしておくためには、 コアな部分とアンコアな部分を分けて、 アンコアな部分はフレキシブルに迅速に応援できるようにしておかないと、 コアな部分が機能を果たさなくなります。 病院についても、 いきなり指定感染症病院を星の数ほど備えておくことは不可能なので、 従って中心的なところは少数かもしれないがちゃんと備えておいて、 その上でいざ事が起こったときにそれをどういう風にフレキシブルに増やしていくのかというような備えをしておかないといけないのではないかと思っています。 こういうことをシミュレーション、 頭の体操をしておくのがとても大事でありまして、 実は紀伊半島大水害の際には、 言いづらいことでありますが、 それ以前に起こった東日本大震災を関西広域連合のカウンターパート方式で助けに行き、 そこから様々な教訓が導き出されました。 それで頭の訓練をしていたので、 割と早く対応できたのではないかと思っております。 次のフェーズは緊急時であります。
緊急時は首長や政府でいうと総理や担当大臣のリーダーシップが非常に大事ではないかと思います。
ルールを事前に作るべきと、
このレジリエンスフォーラムの大きな流れであり、
これは全く賛成であります。
ただルールを作っても、 例えば憲法改正したとしてもこの解釈をめぐりいざとなった時に揉めているという状況が、 私も役人をしていたので想像できます。 従って、 ルールに加えて特にリーダーの覚悟が大事ではないかと思います。 覚悟さえあればルールなんかなくても大丈夫だと思います。 日本の法律はやれることしか書いていないと先ほど松本先生がおっしゃっていたが、 確かにそうかもしれません。 だけど法律に書いていないことをやっても全然大丈夫であります。 その証拠に私は無傷でここに立っています。 もうすぐ関西広域連合長も和歌山県知事も辞めますけれども、 別に引責して指弾され辞めるものではありません。 紀伊半島大水害の時は県民を守るため阿修羅のように無茶苦茶やりました。 人道にもとることをしてはいけませんが、 そうでないことは結構たくさんできると思います。 実例を挙げますと、 紀伊半島大水害が発生した際に本来では災害対策本部の構成要員ではない民間の方、 電気や鉄道の方など皆集め、 他所の組織の幹部の方に対し思い切り命令をしておりました。 無茶苦茶であります。 災害対策基本法上は、 例えば鉄道の復旧は鉄道事業者の仕事であって県知事の仕事ではありませんが、 そんなことお構いなしに早くやれと。 今思えば失礼なことを言ったなと思い、 最近謝ってばかりであります。 例えば、 災害廃棄物は一般廃棄物であり担当は市町村でありますが、 通常出る量の一万倍くらい出るわけなので、 市町村の能力で処理することは不可能であります。 従って、 和歌山県では産業廃棄物業者を県の担当者と現地に張り付かせ、 産業廃棄物のような扱いであっという間に処理しました。 あるいは、 コロナ対応において、 市役所の保健所は私の指揮下にはありませんが、 市長と話をして、 県と市で統一して進めないと上手くいかないので統合型で実施しました。 第3番目に大事なことは、
迅速な復旧復興であると思います。
時間がかかると、
いくら上手く最後は直しても人心が離れていってしまう、
もっと露骨に言うと被災地の方が他所に行ってしまったきり帰ってこないということが絶対起こると思います。
従って、
とにかく早く対応しなければならない。
そのための備え、 知恵が一つあると思っております。 復興方法をめぐりすごく揉めている被災地があり、 揉めた末に綺麗にできたけれども、 人口が戻ったかというと、 他のところで生活の糧をもうけてしまった方が多くいます。 だから、 自分がどういう風に戻れるのかを先に決めておいたほうが絶対良くて、 このため、 和歌山県は復興計画の事前策定を着々と進めています。 最後に、
このレジリエンスフォーラムで様々な制度をどんどん作ることを提案されており。
本当に素晴らしいことだと思います。
緊急事態に関することについては、
例えば憲法改正でも決してそれを恐れない態度が必要だと思います。
また併せて一言申し上げると、
防災庁を関西に作れという話がありますが、
ちょっと無理かなと感じております。
でもどうすればということですが、
おそらく兵庫県が良いのではと思いますが、
関西に拠点をバシッと作っておいて、
そこで河田先生や松本先生のような方が防災に関する研究をゴリゴリする組織を設置し、
関東が被災した際には防災担当の政府の人が命からがらここに皆逃げ込んで、
ここから指令をするようなことが一番良いのではと私は思います。
皆さんのこれからのご活躍に期待をしております。
ありがとうございました。
』
和歌山県知事 仁坂 吉伸
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