橋本市(柱本)
地元で、「
宮ノ講」と呼ばれる。
葛城神社の祭事として、
葛城神社には神主不在のため、講員12軒が一年交代でその役割を果たす。
宮ノ講(会計報告)は1月第2月曜日、
神主の仕事は年中通じて行われる。
お正月から始まる宮の祭りごとを12軒の講員が一年交代で執り行う。
<12月~大晦日~元旦~15日>
しめ縄の準備…12月第1日曜朝8時から講員全員でしめ縄と松明を作る。
【しめ縄】
鳥居(大)3m(藁の房と紙垂を付ける);1本
本殿(中)1メートル80㎝(藁の房と紙垂を付ける);3本
小宮(小)50㎝(藁の房と紙垂を付ける);7本
飾り縄(垂れが1・5・3);7本
13mの長いしめ縄(7・5・3の垂れを連続してない込む);1本 (大晦日から1月3日まで神主が泊る供所(ごくしょ)のぐるりに飾り、清める。
【松明】
大小の松明を作る。大きい方は2メートル20㎝~30㎝ほどあり、本殿に置く。小さい方は神主が行場へ行く時、足元を照らすために持って行く。
竹を茶せんのように何度か縦に割り、その中に肥松((こえまつ)(幹や枝が太く、松やにの多い松)を薪にしたものを入れる。根元から藁でしっかりと巻いて作る。
花筒に生ける植物を準備する。松は節が3つある2メートル位の黒松(雄松)と赤松(雌松)を準備し、飾りしめ縄を巻く。境内の花筒の、右に黒松、左に赤松を入れる。梅、南天、餅花の木、熊笹も2本ずつ山から切ってきて、左右それぞれに入れる。
正月3ヶ日は境内でどんどをする。
除夜の鐘が鳴ったら神主は宮川(みやがわ)に行(ぎょう)に行く。
松明に火を付け、若水を汲むバケツに飾りしめ縄を巻く。
樫の木を割って幣を挟んだものと柄杓を一緒に持って行く。
行場に入る前に川の水をバケツに汲み、他の講員や一般の人が見守る中、神主は裸になり滝壺に入り手を合わす(前日滝の下を掘り下げておく)。
とても寒く、水は冷たいけれど体調を悪くした人はない。
神社に残った講員はお供えの準備をする。大きいお供えを2個、小さいものを13個作る。
三宝の上にずらして折った半紙を敷く。(三角の方が手前) 丸餅2枚を重ね、その上に菱餅を置く。串柿1本、橙、藁を束ねたもの、かやの実、小みかんを載せ、大きいお供えには昆布も添える。
これらのお供えを講員が列をなし手渡しで運び、最後は神主が全ての神様に直接お供えし、本殿で祝詞をあげる。
参拝者にお神酒をふるまう。
(1時過ぎで行事は終了神主は3日間供所に泊る)。
正月3日間、神主は、お札を販売したり、どんどの火を絶やさないようにする。
1月15日に宮に飾ったお正月飾りを燃やす。(しめ縄は一年間飾る)
花筒は榊に入れ替える。
<月例(つきなめ)祭;毎月1日と15日>
朝5時までにお供えをする。鯛は生で神様の方におなかを向けて供える。三宝には、青菜、洗い米、人参、山の幸、高野豆腐を載せて供える。
月例祭の時は、供(ごく)を100~150作り、祈祷してから鈴の下に置いておく。お参りした人がそれを頂いて帰る。(供とは、半紙に無洗米を入れ折りたたんで糊づけし、葛城神社の判を押したもの)
<1月第2月曜日 宮ノ講の会計報告をする>
収入・・・葛城神社のお札;1体500円(講員が購入し、そのまま販売する)。
支出・・・八幡講料;5000円、神主料;3000円、永代供養料;20円、当人料(お渡りする人);1000円、帳元料(帳面を管理する人);1000円
<10月上旬;秋祭り>
お渡り;胡麻生(ごもう)の八幡様からお渡りの場所(式をするところ)に神様を神輿で移す。この時、葛城神社の神主講3名が神輿に続いてお渡りし、玉串をあげる。(写真④)
同じ日、葛城神社の祭りがある。子供だんじりが出る。(写真⑤、⑥)
神社で安全祈願のお祓いをし、祝詞をあげ出発する。9時ごろ紀見峠~柱本~沓掛~5時ごろ葛城神社に帰ってくる。
<11月初旬;節句。神主のふるまいで食事会をする。>
一年のお礼を言う。 しめ縄をいつ作るか決める(通常は12月第1日曜日)。 本来、神主の仕事は12月も続くが、服がかかったら(3親等以内に不幸があったら)、この節句で次の神主に引き継ぐことができる。
<通行手形>
16年前、新村と旧村の交流を目的とし、「ふるさと展望」(公民館主催)というイベントが始まった。神主は、関所で通行手形を渡す。
<宮まいり>
男の子は生まれて30日目、女の子は31日目に宮まいりをする。ご祈祷をし、男の子には青色の、女の子には赤色のお守りを渡す。神饌の準備をする。神主は正装。
<七五三>
<宮を朝晩掃除する。(竹ぼうきは月に5本くらい必要)>
<市議会議員、県議会議員などの選挙出陣の祈祷をする>
西暦1600年前半~半ばにはすでに葛城神社に神主が不在であったが、それ以前のことについてはわからない。
長男でないと講員になれない。 男子が生まれなければ休講する。
|