有田川町(歓喜寺)
地元では、「むけ火」と呼ばれる。
この行事を中止すると、昔から村の人が病気になったり、伝染病になると言い伝えられている。
歓喜寺地区中心部にある山の「柱松」と呼ばれる場所の地蔵さん前で、
8月14日15日に、夕方から山にのぼり、暗くなってから行う。
8月14、15日両日とも夕方、地区内の山(柱松という場所)に子供たちだけで登り、山にある「地蔵さん」に花・びしゃこを供える(お菓子やジュースなどもいろいろ持っていくこともある)。
あたりが暗くなるまで、子供たちは地蔵さんの周りで遊んでいる。暗くなったころに、地蔵さんの前で火を焚き始める。約1時間程度火を焚いたら、子供らが土に叩きつけて火の粉を消しに回る。だいたい21時ごろで終わり、火の後始末をしたら、山から下りてくる。
8月16日は朝から山に行って、かたずけをおこなう。
この行事は基本的に、子供たちだけで行う行事であった。昔(約30年前ほど)は子供の数が13~14名位いた為、すべての行事ことを子供たちだけで行えていたが、現在(2011年度)は2名しか子供がいないため、その子らの親も一緒に参加して計4人で行事をするようになってしまった。火が山に広がらないように地蔵さんの前の草を刈るのだが、昔はきれいに草を刈っていたが年々子供も少なくなってきているので、草刈する範囲も小さくなり、それに伴い火も小さくなってきている。そして、火を消す方法も、昔は松や土を使って火を消していたが、現在は人数も少なく、火が山に回ったら怖いということで、地蔵さん付近にあるみかん畑用の水道を使って、水で火を消しているようである。今は消防法が厳しくなってきて、危ないのでもうやめろという声もあるが、何百年も続いてきたものをやめるわけにはいかないので、火を小さくしてでも続けている。10年くらい前から毎年消防署に申請していて許可を得てやっている。
昔は、火をつけるときは、竹を針金で結んで作った籠に麦わらを入れて滑車などで上げて作った。高さも電柱位の高さもあったので、火の迫力も大きく、大きな火で行事を行っていたが、今は麦わらがなく人数も少ないため、集めた枯草で小さい火で行っている。
また、昔は火を消す道具(松の枝を束ねて、たたいて火の粉を消す様にするもの)を自分たちで作ったりしていた。現在はそういったものはなく、特別な道具や衣装はない。火を消す時も、ミカン畑の水を貰って消したりしている。 |