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和歌山県の民話

紙すきの話

出典:清水町誌下巻別冊

発行:清水町

昔、笠松左太夫(かさまつさたゆう)という人がいて、この人はいつも村に有利な仕事がないものかと考えていた。そんなある時、お奉行(ぶぎょう)から相談をうけた左太夫は、長男とともに他村に見に行ったが、大切な紙すきの方法などどこでも教えてくれるはずはなく、ことごとく追い帰されるばかりだった。仕方なく村に帰った二人は、思案のうえ村の凛々(りり)しい若者三人を小間物屋(こまものや)に仕立て、吉野に送り込んだ。三人は、若い娘が喜びそうな小間物をたくさん持って、紙干板(かみほしいた)の並ぶ家々をまわったという。これが見事に成功し、若者の一人は、おまんという紙すきがたいそう上手な娘を連れて戻った。立派な祝言(しゅうげん)の後、小峠の工場で仕事を始め、苦労しながらも七種の紙をすきあげた。紀州の殿様はたいへん喜んで、城などで使う紙を専属にすくよう、左太夫に命じたという。それ以来、小峠を中心に紙屋が増え、それまで寂しかった村のあちらこちらから、にぎやかな紙すき唄が響きわたったそうだ。

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