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和歌山県の民話

お天気博士

出典:由良町誌通史編下巻

発行:由良町

むかし、由良に天気を見るのが上手な漁師がいたんやと。この男が「明日は雨や」というと、必ず雨が降ったし、「風が吹く」というと必ず吹いたんやとう。
あまり当るので、噂が高くなって、紀州の殿様(とのさま)が江戸へ行くときお供をする事になったんやとう。ところが、この男、江戸に着いてから天気予報をした所、さっぱり当たらない。「明日は天気や」というと雨が降り、「雨が降る」というと上天気(じょうてんき)でな、たまりかねたお殿様が、お付きの家来(けらい)に「一体どうしたことだ」としかると、男はきまり悪そうに「そやけど江戸には鍋山(重山)がない」と答えたんやとう。男が由良に住んでいた時には糸谷(いとや)の重山(かさねやま)にかかる雲を見て天気を当てたのだが、江戸には目安にする重山がなかったという事である。

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