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和歌山県の民話

イボ薬師

出典:紀州民話の旅

発行:和歌山県

いつの世でも、ホクロと違って、イボはなぜか嫌われる。まして、うら若い女性にとっては、昔もいまも悩みのタネ。ところがここに、頼めばイボを取ってくれる薬師さんがいる。
その昔。羽六の水野家に、おりょうという美しい娘がいた。ただ器量がよいだけでなく、立居振舞いや言葉つきも優しい。「あれほどの娘は滅多にいない」と噂された評判の娘。ところが残念なことに、この娘の額に大きなイボがあった。娘とともに「何とか治す方法はないものか」と思い悩んでいた両親。ある夜ふけ、枕元で「わたしは上角の薬師だ。信心するなら娘を治してやる」という声を聞いた。そこで朝夕信心を続けていると、いつの間にか娘の額のイボはとれてしまったという。
以来このお薬師さん、イボ薬師さんとして親しまれているが、「イボを取って下さい」といったのではダメ。なぜか「イボを取れ。取りなさい」と、強く命令しないと効き目がないそうな。

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