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和歌山県の民話

「みなべ」の由来

出典:南部川村戦後五十年史下巻

発行:南部川村

南部町(みなべちょう)のことを古いものには三鍋と書いているが、これにはわけがある。
いつのころであったか、とにかく遠い昔のことである。ある静かな秋の夜であった。にわかに天の一角から金の矢が三本降ってきたと思うと、大きな地ひびきがして三個の石が、田圃(たんぼ)のまん中へ落ちてきた。
「天からござった石だ。天の神さまに違いない」
というわけで、村人たちは、しめ縄をめぐらし御酒を供え、「岩神さん」と名づけ今にあがめまつっている。
この石は色のまっ黒なところ、少し長めではあるが真ん丸いところが、百姓家の鍋の尻にそっくりであるところから、いつ誰がいい出したともなく「三鍋」とよばれ、おしまいには土地の名前になった。また元旦にはこの石が微妙な音をたてて歌をうたうとも伝えられている。村人たちの真心が神さまに通じたのであろうということだ。

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