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和歌山県の民話

瀞(どろ)の主(ぬし)

出典:紀州民話の旅

発行:和歌山県

昔、瀞のあたりに幸右衛門という若者が住んでいた。と、そこへ一人の娘が現われ、名も、生い立ちも告げないまま、嫁になってしまった。やがてこどもが生まれることになったが、お産が近づくと、女は幸右衛門に「川のほとりに小屋を建ててくれ」といい、そこでこどもを生んだ。だが、それは瀞の主の大蛇で、幸右衛門に正体を見られると、水中深く姿を消してしまった。それからしばらく。赤ん坊を乗せた小舟をこぎ回る幸右衛門の姿がみられた。

そして「川の主さん八丁の長さ 可愛い主さん舟の中」-。そんな歌がはやったとも-。

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