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公開日 12月21日

電位依存性Na+チャネルの意外な構造と 分子間相互作用の発見!

連絡先 福祉保健部 健康局 医務課
担当者 藤本奈巳
電話 073-441-2083
FAX --
E-mail

 和歌山県立医科大学の入江克雅准教授、金沢大学ナノ生命科学研究所(WPI-NanoLSI)
/新学術創成研究機構の角野 歩助教、WPI-NanoLSI/JSTさきがけ研究者の炭竈享司
特任助教の共同研究グループは、電位依存性Na+チャネル(Nav)(※1)のこれまで不
明だった室温で動いている構造を高速原子間力顕微鏡(高速AFM)(※2)によって解
明し、さらに予期せぬチャネル分子間の相互作用の存在を発見しました。
 電位依存性Na+チャネル(Nav)は生体の活動に必要な電位(活動電位)を発生する
ため、生体にとって不可欠な膜タンパク質です。そのため、Navの構造と機能の関係を
明らかにする研究が広く行われてきましたが、細胞膜内で機能している際のNavの構造
や、Nav同士の相互作用には不明点が多く残されていました。
 このたび本研究グループは、室温でのタンパク質の動態観察が可能な高速AFMを用い
ることで、Navが閉じるとNavの電位センサーはNavから離れて二量体を形成することを
解明しました。さらに、理論計算により、この二量体化は現実の神経においても起きう
ることを明らかにし、二量体化がこれまで不明であったNavの急峻な活動電位発生の分
子実態である可能性を示しました。
 これらの知見は将来、活動電位の波形の異常を修正する薬剤の一つの開発指針となる
ことが期待されます。
 本研究成果は、2023年12月19日午前10時(英国時間)に国際科学雑誌『Nature 
Communications』に掲載される予定です。

※1 電位依存性Na+チャネル(Nav)
 細胞内外の電位差に応じて細胞膜のNa+透過を制御する膜タンパク質。Navが活性化する
ことで活動電位が発生する。

※2 高速原子間力顕微鏡(高速AFM)
 柔らかい板バネの先に付いた針の先端で試料に触れ、試料の表面形状を可視化する顕微
鏡。針と試料の水平方向の相対位置を変えながら試料表面の高さを計測することにより、
試料の表面形状を可視化する。また、試料の表面を高速(最速33フレーム/秒)にスキャン
することにより試料の動きを可視化することができる。

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